メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

今日聴いたCD

フィリップ=コラールのラヴェル:ピアノ曲全集

ネットで試聴した限りではタッチが骨太でラヴェルにあっていない印象を受けたのだが、たまたま二束三文で叩き売られていたので入手して聴いてみたところ印象が大違いで驚いた。ネット試聴だけでは誤ることがあると大いに反省し、世評の高い録音は一度聴いて…

ムラヴィンスキーのドイツ物が分からず

宇野功芳さんの追憶つながり(?)でムラヴィンスキーがメロディアに残したドイツ物(ベートーヴェンの3,5番とシューベルトの未完成)を立て続けに聴いたのだが、彼のロシア物の録音と比して、凄さがいまいち分からず。同じような演奏スタイルならトスカニー…

クライネフのCHANT DU MONDE録音集

プロコフィエフのソナタ集の録音で聴かせるタッチが、後に聴いたプロコフィエフの自作自演のタッチに瓜二つであったのを目撃して以来、気のおけない奏者。仏CHANT DU MONDEへの録音集を、念願かなって聴くことができた。 クライネフは、演奏する作品が、書か…

ベートーヴェンの交響曲8番

リスト編曲のピアノ版スコアを見ながら1,4楽章を部分的に聴き比べる。 トスカニーニとクナッパーツブッシュが似ていると述べたら、暴論だろうか? この二人の演奏の共通点は、スフォルツァートやアクセントやスタッカートをすごく大事にして確固たる拍を作り…

シュタットフェルトのバッハ:平均律第1集(Sony)

Sony classicalの売り込み方が好きではなくて敬遠していたのだが、完全に私の誤りだった。 デビュー盤のゴールトベルクから更に歩みを進めて、大変挑戦的なバッハ。古楽的なイントネーションに準拠した奏法の成果を踏まえたうえで、ロマンティックといえるよ…

トスカニーニに開眼

近所の図書館で、これまで聴いたことのない指揮者のCDをまとめて借りてきた。内容は、トスカニーニの「英雄」、C.クライバーの「運命」、チェリビダッケのブルックナーであったが、いちばん感銘を受けたのは、何とトスカニーニの「英雄」であった。 この演奏…

ベルマンのリスト:ソナタとムソルグスキー:展覧会の絵(Amadeus)

イタリアのレーベルという事でどんな音質のものが届くかドキドキしながら待っていたのだが、ふたを開けてみれば後期のベルマンの録音としてErmitageとDISCOVERのライヴに並ぶ、音質・演奏ともに大変優れたレコードだった。 リストのソナタは75年のメロディア…

クナッパーツブッシュ/BPOのブルックナー:交響曲9番(1950.01.30)(MEMORIES)

息子に盤面を傷だらけにされても良いようにと、1962年の運命の入っている復刻盤を探していたところ、MEMORIESという復刻レーベルの交響曲選集が叩き売られているのを発見し、同じく叩き売られていたブルックナーの交響曲選集と抱き合わせで購入した(1963.01…

アンスネスのシューマン:子供の情景(EMI)

図書館に行ったついでに抱き合わせで借りてきたのだが、目から鱗のCDだった。 これまで私の中でアンスネスはVirgin classics時代のヤナーチェク(やショパン)での情熱的な覇気に圧倒され「こっ、これが若さというものか!」と感嘆したものだった。しかし、E…

シゲティのバッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(Vanguard)

幾つかの曲を、シェリングの67年盤、メニューインの1回目の録音と比較しながら聴いた。シェリングやメニューインが素晴らしい演奏なのを重々承知のうえで、やはり格が違うと改めて思った。シゲティの演奏を聴いていると、なぜか教会の中で聴いているような錯…

ケナーのラヴェル:ピアノ作品集(オーマガトキ)

楽しみに買ってきたケナーのショパンのCDがいまいちで、ショックで倒れる。替わりに、昔買ったラヴェルのCDを取り出して聴いたのだが、こちらのほうが面白い。 これはダン・タイ・ソンのショパンを聴いた時にも感じる事なのだが、彼らのショパンはテキストに…

アスケナーゼの放送録音集(melo)

驚愕の1枚。アスケナーゼはDGのBOXセット(1950年代のショパン録音全集と銘打ってある)で聴いており、泰然としたテンポ設定による気品と、どことなくたどたどしい'ぽきぽきした'タッチによる、いかにもドイツで最も受けそうな趣味のショパンという印象を持…

エマールのメシアン:幼子イエスにそそぐ20のまなざし

その知名度の割に私の苦手な作品で、ダメもとで購入したのだが、大変良い買い物だった。今後「まなざし」を聴く際には真っ先に手に取る盤になった。 エマールは、大変美しいリゲティのエチュード集を聴いて以来、気になるピアニストなのだが、この「まなざし…

シベリウスの後期交響曲

昨夜から、少し聴き返している。 以前からカラヤン&ベルリンフィルで聴く6番が大好きだったが、今回ベルグルンドの新しい全集で5番や7番を聴き直してみて、良い印象を持った。 ここ最近、私は指のメカニックが若干なりとも向上した事にともない「ピアノ弾き…

ラモンドのベートーヴェン:悲愴、葬送、月光(biddulph)

念願かなってbiddulpu復刻のベートーヴェン第1集を聴くことができた。奏者は「ラモンド版」を世に問うほど高名なベートーヴェン弾きだが、残念ながら私はこのベートーヴェン演奏が(第2集を買って聴いた)ずっと昔から、好きになれないでいる。かなり崩して…

ブルックナーの後期交響曲

昨夜から、高校生の頃に買いそろえたCDを聴き返していて、自分の音楽的な嗜好が20年前と全く変わっていないことに、若干あきれ、若干嬉しく思っている。 当時、この高みに達している作品は、バッハ以外ではベートーヴェンの後期作品のいくつかだけだと感じ…

マルディロシアンのバッハ:編曲集

昔、レコード芸術で推薦されていたのを覚えていて、再プレスされたタイミングで買ってみたのだが、これは良かった。 マルディロシアンのピアノは、この体格の奏者が往々にして持ち合わせる豊かでよく響くタッチを持っているが、細やかに抑制されたペダリング…

イグムノフのショパン:ソナタ3番他(Dante)

死の前年、1947年のライヴ録音。演奏はミスタッチがところどころに聴かれるのだが、音質はAPR復刻のクライスレリアーナを遥かに凌ぐ。 イグムノフの魅力は(ライナーノートにも指摘があるように)ドイツ正統型の音楽を造形する奏者なのだが、甘美さよりも幻…

コロリオフのベートーヴェン:ディアベリ変奏曲他(hr)

コロリオフのベートーヴェンをもっと聴きたくなって購入したのだが、このディアベリ変奏曲は、後期ソナタ群ほどの独自の世界を形成していない。これは強奏が豊かに録音されているせいもあると思われ、ハンマークラヴィーアがこの録音で残されていたら、異な…

コロリオフのベートーヴェン:ソナタ28,29番

ソナタ28番は後期三大ソナタと同様のスタイルによる佳演なのだが、ハンマークラヴィーアの演奏は、好悪を分けると思った。 それはやはり作品が、ハンマークラヴィーアでは大袈裟なベートーヴェンがいまだ健在で、それを静的なものにし過ぎてしまっていると思…

コロリオフのベートーヴェン:ソナタ30-32番

あまり期待せずに買ったのだが、大変な佳演だった。これまで私の中でコロリオフは(ちょうどフェルツマンと同じように)バッハ奏者のイメージが強かったのだが、このピアニストの重要な一面を取り落としていた事を思い知らされた。 このベートーヴェンの面白…

ゲルバーのバッハ編曲集(EMI)

このCDを聴きながら、このピアニストにとって玉にキズである、衝撃音を含むフォルテについてずっと考えていた。 通常この手の衝撃音は、打鍵の直前・直後に脱力せずに何処かに力みの残るタッチで、指を鍵盤から浮かせた位置から振り下ろしたときに顕著に聴か…

ファーガス=トンプソンのラヴェル:ピアノ曲全集1(ASV)

ファーガス=トンプソンがASVに纏まって録音したものの中では、その希少性の高さからスクリャービン集に真っ先に手が出てしまうのだが、ドビュッシーと、このラヴェルの全集によって語られる奏者であることを確信した。 ソノリティのコントロールにかけては…

ジャニスのムソルグスキー:展覧会の絵(RCA)

1958年のRCAへの録音。若い頃のジャニスの録音を初めて聴いのだが、関節炎を悪化させる前のステレオ録音が、ほとんど協奏曲しかないのが残念に思うくらい良い演奏だった。 音楽的にもメカニックに頼った一本調子なものでは決してなく「真摯な」という言葉が…

バシキーロフのブラームス:ソナタ3番他(A&E)

数年前にHMF盤でブラームス集を聴いて以来、ちょっと気になっていたこのピアニストのブラームス続編。 この奏者の特徴は、ピアノを完全に鳴らしきる豊かなフォルテを持つにもかかわらず、粒立ちの整った弱音の美しさが特に印象的で、これらの音が、かなり禁…

クライバーン・イン・モスクワ(Melodiya)

ラフマニノフのソナタ2番のライヴ録音を聴いて以来(そして、何かが抜け落ちたリストのスタジオ録音を聴いて以来)、このピアニストはすべてライヴ録音で聴こうと心に決めている。 クライバーンのライヴの素晴らしいところは、アマチュアくささ丸出しのとこ…

リヒテルのシューベルト:ソナタD.845,850(Melodiya)

国内盤のK2レーザー・カッティング盤を持っていたが、インターナショナル盤のNoNoiseリマスターを追加購入した。 BMGのNoNoiseリマスターをいくつかの録音で聴いて、疑似ステレオ的な音の広がりが気に入っていた。 この盤も、K2レーザー・カッティングはフォ…

フー・ツォンのショパン:バラード集

この録音がCD化されていると知らず、先日たまたま見つけた。 CDの裏にLicensed by Intermusica Artists Managementと書かれていて、フー・ツォンの80年ごろのショパンがvictorから出たりsonyから出たりするのは、どうもこういう事だったのだ…。 また、録音に…

グードのベートーヴェン:3大ソナタ

このピアニストに関してショパンとバッハのパルティータ集から聴き始めた私は、次に買ったベートーヴェンの後期ソナタ集を聴いて、線が細く、スケールが小さく録られていることにかなりの違和感を持っていた。 だが、この3大ソナタを聴いて大いに考えを改め…

ギーゼキングのドビュッシー:ピアノ曲全集

普段はCDのリマスターの違いなど気にも留めないのだが、ふとしたきっかけで所有している輸入盤の全集(1995年発売のEMI盤)は音質が悪いのではと感じた。試しに図書館にあったARTリマスターのベルガマスク組曲を借りてきてびっくり!たかが1000円のヘッドホン…

リヒテルのベートーヴェン:ソナタop.14-1,22,26,90(Philips_1960年代のライヴ録音)

リヒテルの演奏するop.14-1,22を本盤で初めて聴いたのだが、素晴らしかった。 リヒテルは伝記で自身がドイツ人であることを繰り返し主張しているが、ベートーヴェンの、それほど大きくないソナタを演奏するとき、内面の高さが完全にドイツ人だ。しかも、独墺…

コヴァセヴィチのベートーヴェン:ソナタop.109,26,49-1,2,バガテルop.126

3枚組のソナタ選集に含まれていなかった30番を聴きたくて購入したもの。このピアニストの特異な音楽性を改めて確認した。 30番ソナタ。音楽の感動の方向性としては独墺系奏者と同じなのだが、1,3楽章での弱音の響かせ方を含めた不思議な音響空間は完全にこの…

クロイツァー:ABC放送録音集(Green Door)

久しぶりに聴き返して、大いに考えを改めた。 放送前のリハーサルの試し録りという事でミスタッチも散見され、以前はそれが気になって仕方なかった(一例をあげると、リストのパガニーニ大練習曲2番の下降アルペジオが、戦前のSPと比べて粒立ちがおかしい事…

アラウのベートーヴェン:ソナタ全集(旧盤)(Philips)

高校生の頃、アラウの新全集(月光とハンマークラヴィーアのみ旧録音)が国内盤で発売された。新全集の内容の深さに魅了された当時の私は、両方並べるのは蛇足と思い、旧全集をしまいこんだ。 正月に実家に帰った際に、発掘してきた旧全集を聴いた。もうさし…

アニー・フィッシャーのライヴ録音集(Dante_HPC014)

1949年と1951年のライヴ録音。 ベートーヴェンのソナタ集を譜読みするようになって、アニー・フィッシャーのソナタ全集録音の素晴らしさを再発見して以来、もう少しいろいろ聴いてみたいと思っている。EMIに残したスタジオ録音が意外におとなしく、BBC legen…

デル・プエヨのベートーヴェン:ソナタ選集(Pavane_ADW-7071/2-2)

Treasureレーベルからこのピアニストの復刻盤が出たのを期に聴き直した。後年のステレオ録音による全集からの選曲盤だろう。 造形や和声の感じ方が独墺系奏者のそれからかけ離れており、それを聴き手がどう思うかで評価が分かれると思う。 この盤を入手した…

ルドルフ・ゼルキンのライヴ(FKM-1002/3)

実家に帰った際に持ってきた一連のCDの中のひとつだが、久しぶりに聴き返して、タッチの美しさに驚いた。 FKMは、この手の裏青レーベルの中では音質が良いようで(しかし演奏は外れの場合があった)、CD2枚目のショパン:24の前奏曲など、同時期のCBSスタジ…