メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

あるピアノ愛好家が人生で出会ったもの・考えたこと

CDで聴くピアニスト

フジ子ヘミングさんのリスト:ラ・カンパネラ他(Victor)

実はこの話題のピアニストを今まで聴いた事が無く、図書館にCDが置いてあったので初めて聴いた。 印象としては、この録音に関していえば、巷で叩かれているよりも、ずっと上手い。 一聴してまず感じるのは、これは色々なところで言及されている事だが、タッ…

コヴァセヴィチのベートーヴェン:ソナタ全集(EMI)

長らく入手困難になっていた全集が2000円!で再版されたのを、衝動買いしてしまった。 このベートーヴェンの最大の特徴は、とくに緩徐楽章で聴かれる崇高な抒情美(まさにドイツ正統派の演奏スタイルと呼ぶに値する)なのだが、往年の独墺系巨匠ピアニストの…

ギーゼキングのバッハ:放送用録音集成(DG)

来日時の演奏で井口基成さんに打鍵の浅さを批判されたギーゼキングこそ、鍵盤の底まで打鍵しない奏法の大家であったと思う(ただし、少なくともソノリティ・コントロールへの嗜好が無い点で、最近の現代奏法で弾いている若手奏者と異なる)。 私見では、この…

音量操作によって内容がスポイルされている録音

録音時かリマスター時か分からないが、露骨な音量操作によって鑑賞に堪えなくなってしまっているCDをまとめておきたい。 (1) フェヴリエのドビュッシー:ピアノ独奏曲全集(accord) 同時期のラヴェル全集が素晴らしかっただけに、惜しみて余りある…。 (2) ブ…

ヴィルヘルム・ケンプの生誕120周年記念に敬意を表して

2011年の日付で、当時の考えを書いたものをPCの中から発掘した。 (現在の私には、もう少しだけ付け加えられるものが有る…)。 ↓↓↓ ケンプの演奏を客観的に論じるのは、私には無理な話だ。 自分にとっての音楽体験の原点が、中学生のときにテープがのびるほ…

コルトーの1950年代の録音をどう聴くか

【CDコレクションの未解決問題 EX.02】 駅ビルの中に入っていた新星堂が幻の日本録音を含む「アルフレッド・コルトーの遺産」全15集を発売すると聞いて欣喜雀躍したのは、高校1年生の時だった。しかし、肝心の「コルトー・イン・ジャパン」を含めた晩年の録…

ヘブラーのモーツァルト:ソナタ集旧新録音

【CDコレクションの未解決問題 EX.01】 ・モーツァルト:ピアノソナタ全集(DENON'86-91) 図書館でフィリップスの旧盤をいくつか借りてきて比較したが、これほど旧盤を凌駕している新盤も珍しい。アポロン的な端正さは旧盤と変わらないが、明るさの中に暗さ…

棚にのらないCD

ピアニスト棚にのらないCDについて、少しまとめておきたい。 (00) ソロ以外 譜面を入手しても再現できないため。 (0) 純粋に収録曲が好きではない 編曲物と現代音楽の大半がこれに入る。ただし、世評の高い録音(ポリーニのシェーンベルクなど)は将来の可能…

ピリスのモーツァルトとショパン問題(4)

続いて最円熟期の盤 ・ベートーヴェン:ソナタop.27,109(DG'01) ベートーヴェンにしては少し線が細い気がするがこれは旧盤でも感じたことである(この新録音はコンディションがやや特殊なせいも大きいと思う)。月光を旧盤と比較すると、adagioの深みと透…

ピリスのモーツァルトとショパン問題(3)

そのほかの録音について、簡単に考えをまとめる。 まずは表現主義期の盤。 ・バッハ:パルティータ1番、イギリス組曲3番、フランス組曲2番(DG’95) パルティータ1番はノクターンと同じく重いが、イギリス組曲3番では堅牢な楽曲が情念をがっしりと受け止め、…

ピリスのモーツァルトとショパン問題(2)

・ショパン:前奏曲集op.28(DG'92) ・〃:ワルツ集(Erato'84) ・〃:ノクターン全集(DG'95,96) ショパンに関しては主観を前面に出して表現する、この時期のピリス。その音楽を受け止めるのは、録音中ではop.28の前奏曲集が最適で、振れ幅の大きい音楽…

ピリスのモーツァルトとショパン問題(1)

【CDコレクションの未解決問題 No.12】 今回いろいろ聴き直して、改めて凄いピアニストだと思った。 ソロ録音を、時期別に以下のように分けている。 (1) もぎたてレモン期(~70年代末に休養に入るまで) 宇野功芳さんが「もぎたてのレモンのような新鮮さと…

バレンボイムの録音はどれを選ぶか?(3)

(続き) ・ブラームス:ソナタ3番(Teldec)これも最高水準の出来栄え。強奏時にバタバタとやる癖を楽音の一部ととらえるかノイズと聴くかで評価が分かれそう。私は断然前者である。 ・アルベニス:イベリア第1,2集(Teldec)バレンボイムの録音の中で、私…

バレンボイムの録音はどれを選ぶか?(2)

(続き) ・シューベルト:ソナタD.960、即興曲集D.899&935、楽興の時D.780(DG'77) 〃:ソナタD.960、即興曲集D.935(Erato ウィーンライヴ) 〃:ソナタ選集(DG'14) ソナタ選集が平均律・2回目ベトソナタ・後述のノクターンに次ぐ出来栄え。粒立ちの良い…

バレンボイムの録音はどれを選ぶか?(1)

【CDコレクションの未解決問題 No.11】 コレクターの試金石となる課題。この一連のリストによって私がどんな音楽的嗜好を持つ人間かが丸出しになるであろう。 ・バッハ:平均律全集(Teldec) バレンボイムの最高作のひとつ。フィッシャーの後継的精神を持っ…

ティリモのドビュッシー:練習曲集

【CDコレクションの未解決問題 No.10】 前々からエマール盤と似ているという印象を持っていたが、聴き直してみてやっぱり似ている。指まわりを前面に出さないが質実剛健な技巧と、奇を衒わない音楽性、強奏した時の音の豊かさ。ティリモのほうが若干アフェク…

アシュケナージのシューマン録音選集

【CDコレクションの未解決問題 No.9】 聴き直してみたところ、悪くない(旧録音を買うまでもない)。ドイツ色さえ求めなければ、他の演奏の良し悪しを論じるための基準となるような選集(ああ、アシュケナージが模範的なのか、私がそう刷り込まれて育ったの…