メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

シャイトのタブラチューア・ノヴァ第3集(ラムル)MD+G

保留にしていたシャイトのタブラチューア・ノヴァ第3集を聴いた。 結論から言うと、タブラチューア・ノヴァの中で私が最もピアノで弾いてみたいのは、第3集中に数曲あるマニフィカトおよびイムヌスの第1versusである。 これら2つの楽曲は、まず第1versusで主…

ピアノ音楽の源流探索2017~デュフリとバルバトル

デュフリ(1715-1789) 初めてインマゼールの演奏でLa de Vaucansonを聴いた時に、これは凄い作曲家だと感嘆し、早速楽譜を印刷して音を出してみたところ肩透かしを食った。ピアノで弾くと、チェンバロで聴いた時とは印象がまるで違って、モーツァルトの出来…

ピアノ音楽の源流探索2017~ボワモルティエとロワイエ

ボワモルティエ(1689-1755) 小振りな4つの組曲がある。 ・楽譜(IMSLP):http://imslp.org/wiki/Pi%C3%A8ces_de_clavecin,_Op.59_(Boismortier,_Joseph_Bodin_de) ・音源:インマゼールがデュフリを弾いたCDに、抱き合わせでブーレイというチェンバリストが…

ピアノ音楽の源流探索2017~フォルクレとクレランボー

ここから後のフランス・バロックのチェンバロ作品は「組曲」と銘打っていても、性格小品集の色合いが濃くなっていく。これを、ひと組曲通しで譜読みするべきか、それとも気に入った作品だけを切り出すべきか、大いに考えるところである。 フォルクレ(1671-1…

ピアノ音楽の源流探索2017~リュリとダングルベール

リュリ(1632-1687) ・楽譜:私がまだ大学生だった頃に買った、春秋社の世界音楽全集ピアノ編のバロックピアノ曲集に、アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグおよび"やさしいうた"の5曲が収められている。彼のオペラ作品の中から、19世紀ごろに編曲さ…

ピアノ音楽の源流探索2017~シャンボニエールとルイ・クープラン

シャンボニエール(1602-1672) 最晩年に当たる1670年に出版された全2巻6つの組曲があり、甲乙つけがたい。フランス・クラヴサン楽派の創始者と言われているシャンボニエールだが、この作品をながめると、舞曲の寄せ集めによる組曲としての様式が、既に完成…

クラシック名曲ガイド5(音楽之友社)

内容のうち1/6くらいがバロック鍵盤作品の紹介に割かれていて、かの市川信一郎さんが執筆されている。 今回読み直して勉強になったことを纏めておく。 ・カベソンの作品集は、やはり1578年出版の遺作集が傑作で、中でもティエントとディファレンシアスが出色…

ピアノ音楽の源流探索2017~バッハの息子たち

W.F.バッハ(1710-1784) やはり12のポロネーズが面白い。多感様式というのは、ソナタよりもこのような作品に向いているのではと思ってしまう。 ・楽譜(IMSLP): http://imslp.org/wiki/12_Polonaises%2C_F.12_(Bach%2C_Wilhelm_Friedemann) ・音源:ロベル…

ピアノ音楽の源流探索2017~ベームとテレマン

ベーム(1661-1733) バッハの先生。チェンバロのための約11曲ある組曲を改めて聴き直してみたのだが、実はブクステフーデの組曲より優れているのではないかと思う程感じるものが有った。特に躍動感のあるジーグが素晴らしい。 ・楽譜(IMSLP): http://imslp…

Amazonのプライムデー告知に思う

昔フワク 今ワクワクな 40歳年取ることの難しき現代

ピアノ音楽の源流探索2017~バッハ前夜のドイツ・バロック

ラインケン(1643-1722) 弦楽器と通奏低音による組曲"Hortus Musics"の1番と2番の前半をバッハがチェンバロ独奏用に編曲している(BWV.965.966)。私はこのBWV.965が気に入っている。 ・楽譜(IMSLP):BWV.965→http://imslp.org/wiki/Sonata_in_A_minor,_BWV_9…

ピアノ音楽の源流探索2017~ブクステフーデ

ブクステフーデ(1637-1707) ・楽譜:オルガン作品はDOVER( https://www.amazon.co.jp/Organ-Works-Dover-Music/dp/0486256820/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1498567343&sr=8-2&keywords=buxtehude+dover )組曲はKalmus( https://www.amazon.co.jp/Buxtehude-…

ピアノ音楽の源流探索2017~フローベルガー

フローベルガ―(1616-1667) ・楽譜(ISLMP): http://imslp.org/wiki/Orgel_und_Klavierwerke_(Froberger,_Johann_Jacob) ・音源:Egarrがグローヴレーベルの録音した全集のうちvol.1と2で聴いている。 纏まった曲集として、フェルディナント3世に捧げられた…

ピアノ音楽の源流探索2017~イベリア半島の作曲家

セイシャス(1704-1742) ・楽譜:かの谷戸基岩さんの編纂によるソナタ選集が春秋社から出ていて24のソナタが収められている。 ・音源:アーニャ・アレクセイエフというピアニストが弾いた盤がMARQUISレーベルにある。 ニ短調のソナタ("80のソナタ”の27番)…

ピアノ音楽の源流探索2017~チマローザとクレメンティ

チマローザ(1749-1801) ・楽譜:関孝弘さん校訂によるソナタ全集が全音から出ている(上下2冊)。 ・音源:同じく関孝弘さんのピアノによるソナタ全集と、スグリッツィのフォルテピアノによる選集を、私は交互に聴いている。 ソナタ27番(変ロ長調)が有名…

ピアノ音楽の源流探索2017~ガルッピとパラディエス

ガルッピ(1706-1785) ・楽譜:関孝弘さんの校訂されたソナタ選集が全音から出版されている。 ・音源:ミケランジェリによるハ長調のソナタの録音(Decca)が有名。ピアノでのまとまった録音は、前述の関孝弘さんが校訂版の曲を弾いた2枚組がある。 いちば…

ピアノ音楽の源流探索2017~プラッティとペシェッティ

プラッティ(1697-1763) ・楽譜(IMSLP) ソナタ集op.1: http://imslp.org/wiki/6_Harpsichord_Sonatas_'sur_le_go%C3%BBt_italien'%2C_Op.1_(Platti%2C_Giovanni_Benedetto) ソナタ集op.4: http://imslp.org/wiki/6_Harpsichord_Sonatas%2C_Op.4_(Platti%2…

ピアノ音楽の源流探索2017~B.マルチェロとツィポリ

B.マルチェロ(1686-1739) op.3のソナタが素晴らしい。後に続くイタリア・バロックの作曲家による家庭用サイズのソナタと比べた時、B.マルチェロの作品だけは型破りで、チェンバロという枠に良くも悪くも収まりきっておらず、しかも豊かな音楽を感じる。 ・楽…

ピアノ音楽の源流探索2017~A.スカルラッティ

A.スカルラッティ(1660-1725) まるでオペラ用の音楽を縮小編曲したかのようなトッカータが面白い。 ・楽譜(IMSLP): http://imslp.org/wiki/Keyboard_Works_(Scarlatti,_Alessandro) 合計12曲のトッカータがまとまっている。 ・音源: 私が保有しているのは…

ピアノ音楽の源流探索2017~スグリッツィに敬意を表して

イタリア・バロックの鍵盤音楽にはいる前に、この鍵盤奏者に1ページを割きたい。 スグリッツィは1910年に生まれ、1994年に没したイタリアの演奏家である。ピリオド楽器の開祖レオンハルトが1928年生まれだから相当に昔の人なのだが、ピリオド楽器時代の名チ…

ピアノ音楽の源流探索2017~フレスコバルディ

フレスコバルディ(1583-1643) 恐らくバッハ以前の最大の鍵盤音楽作曲家。バッハの晩年の作風に少なからぬ影響を落としていると思われ、"西洋音楽の父"の父ブクステフーデに比肩して、"西洋音楽の父"の祖父(!)とでも称されるべき作曲家。クラシック・ピア…

ピアノ音楽の源流探索2017~スヴェーリンクとシャイト

スヴェーリンク(1562-1621) ・楽譜:Doverから鍵盤作品全集が出ている。IMSLPは便利でありがたいのだが、演奏しようとするなら、印刷する手間と整理できずに散らかるリスクを考えると、廉価で出版されているもの(DOVERや全音など)は購入してしまった方が良…

ピアノ音楽の源流探索2017~ギボンズとパーセル

ギボンズ(1583-1625) ・楽譜(IMSLP): http://imslp.org/wiki/Complete_Keyboard_Works_(Gibbons,_Orlando) ・音源:ピアニストのピエナールが、CD2枚分の作品選集を録音している(Deux-Elles)。他にホグウットの選集がある(explore、原盤はDECCAか??)。 …

ピアノ音楽の源流探索2017~はじめに

昨年末に読んでみたい楽譜を試算したところ約12000ページほどあったのだが、そのうちルネッサンス・バロック期の作曲家で現在までピアニストによって開拓されていない作曲家(バッハ、スカルラッティ、ヘンデル、ラモー、クープラン以外)の作品が、だいたい…

ピアノ音楽の源流探索2017~フィッツウィリアム・ヴァージナル曲集に登場する著名な作曲家

フィッツウィリアム・ヴァージナル曲集 ・楽譜(IMSLP):http://imslp.org/wiki/Fitzwilliam_Virginal_Book_(Various) ブル(1562/3-1628) 手元に2014年ごろにダウンロードした2冊分の作品選集があるのだが、サイトが見つからなかった。 まずchromatic pavane …

ピアノ音楽の源流探索2017~バード(1543-1623)

バード(1543-1623) (1) ネヴィル夫人の曲集 全作品がバードのもので、有名どころが非常に良くまとまっている。 ・楽譜(IMSLP): http://imslp.org/wiki/My_Ladye_Nevells_Booke_of_Virginal_Music_(Byrd,_William) ・音源:ホグウッドが全曲録音している(DE…

ピアノ音楽の源流探索2017~ルネッサンス・イタリアの諸作曲家とカベソン(1510-1566)

ルネッサンス・イタリアの鍵盤音楽 メルーロ(1533-1604)のtoccataあたりから聴き出したのだが、ルネッサンス・イタリアの鍵盤音楽をピアノで弾こうとした場合、面白いのはむしろ対位法を駆使したricercarであるという考えに取りつかれた。 最近発売された…

現代的な演奏スタイルってどんな風だろう?

最近考えることがあったので、簡単にまとめておきたい。少なくとも私が録音で聴いた限りでは、ピアニストの生年で大雑把に3つに時代分けしたい。(1) ~1920年 戦前の、多様な弾き方が百花繚乱していた世代 (2) 1920年~1955年 戦後の、原典主義的なピアニズ…

高い椅子で練習してみて2つの発見(2)

【発見その2】ポジション移動がしやすい ショパンの曲でしばしば要求されるポジション移動(op.10の練習曲でいうと1番や8番の基本音型)が、驚くほどしやすい。これは大きな発見であった。 その理由は恐らく、この椅子の高さで鍵盤に指を置いた時には、自然…

高い椅子で練習してみて2つの発見(1)

これまで、ピアノを弾くときの椅子の高さは高い位置(手首の高さが肘と同じくらい)と低い位置(手首の高さが肘より若干高い)の2通りで、3週間交代で練習していた。だが今回新たに、ロシア奏法を教えられている幾人かの先生がそろって推奨されている、かなり高…