メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

バレンボイムの録音はどれを選ぶか?(1)

【CDコレクションの未解決問題 No.11】

コレクターの試金石となる課題。この一連のリストによって私がどんな音楽的嗜好を持つ人間かが丸出しになるであろう。

 ・バッハ:平均律全集(Teldec)

バレンボイムの最高作のひとつ。フィッシャーの後継的精神を持った録音(時々指がよろけるところまで似ている)。情念の揺れによる表情の幅が大きい。

・バッハ:ゴールトベルク変奏曲(Teldec)

よく聴くと細部の表情の冴えなど見事なのだが、おそらく録音が平均律と比較して劣り(ライヴ録音)、出来栄えがかなり落ちると感じる。

モーツァルトソナタ全集・変奏曲全集と小品集(EMI)

第一印象は悪かったのだが、演奏そのものは面白い(まるでディベルティメントを指揮しているような弾きぶり)。ただし、放置された細かいミスタッチがきになり、平板なEMIのデジタル録音も魅力がない。同時期にDGで録ったら、もっと良いものができたはず。

ベートーヴェンソナタ全集(DG`80年代)

平均律と並ぶ最高傑作。安定した技巧と整った粒立ち。独墺系正統の造形にところどころ才気走った音楽性が加味されて面白く聴かせる。この出来栄えのせいで、旧全集や新全集にいっさい触手が伸びない。

ベートーヴェン:ディアベリ変奏曲(Teldec)

演奏・録音とも、ソナタ全集に次ぐ水準で良いと思う。(実は、この作品はケンプの録音が無いせいで私の中に刷り込まれておらず、ソナタほど自信を持って良し悪しを判断できない)。