メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

ヘブラーのモーツァルト:ソナタ集旧新録音

【CDコレクションの未解決問題 EX.01】

モーツァルトピアノソナタ全集(DENON'86-91)

図書館でフィリップスの旧盤をいくつか借りてきて比較したが、これほど旧盤を凌駕している新盤も珍しい。アポロン的な端正さは旧盤と変わらないが、明るさの中に暗さを潜ませるようになり、音楽の内容が格段に深い。

モーツァルト:小品集(Philips'77)

旧全集から約十年後の録音であり、音楽の感じ方はずっと新全集に近い。なぜかk.485の録音がいまいち。

・バッハ:フランス組曲Philips'80)

ヘブラーの珠を転がすような粒立ちのタッチは、フランス組曲にぴったり(イギリス組曲やパルティータではこうは行かなかっただろう)。この曲集を独墺系奏者が弾いた(私の持つ限り)唯一の全集として、最重要リファレンス盤になっている。

シューベルト:録音集(Philips'63-70)

ほとんどのソナタ即興曲D.899&935と楽興の時他を収録。シューベルトに関しては音楽の振れ幅をずっと大きく取っていて、強奏がやや硬いと感じる時がある。普通の奏者がそれなりの深さでペダルを踏んで旋律を歌わせるような個所を、ノンペダルでタッチの粒を際立たせて弾いていたりなど、いかにもモーツァルティアンな感じ方の演奏で、好き嫌いが出ると思った(私はどちらかといえば、面白いと思い許容するほう)。なぜかD.959の音にひずみがある。