メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

クロイツァー:ABC放送録音集(Green Door)

久しぶりに聴き返して、大いに考えを改めた。

放送前のリハーサルの試し録りという事でミスタッチも散見され、以前はそれが気になって仕方なかった(一例をあげると、リストのパガニーニ大練習曲2番の下降アルペジオが、戦前のSPと比べて粒立ちがおかしい事)。

しかし、その後、名ピアニストの晩年のライヴ録音が崩壊してしまっているのを数多く目撃したり、メカニックが弱い演奏と仕上がりが荒い演奏の違いを多少なりとも聴き分けられるようになった現在聴き返すと、当盤は亡くなる2年前であるにもかかわらず矍鑠たる演奏の高さに驚かされる。

惜しむらくは、前述の「レオニード・クロイツァーの遺産」に収録された戦前のSPと比較しても音質が悪い事で、タッチの粒の美しいピアニストなので、もっと良い録音で残っていたらと、大変残念に思う。