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メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

コヴァセヴィチのベートーヴェン:ソナタop.109,26,49-1,2,バガテルop.126

3枚組のソナタ選集に含まれていなかった30番を聴きたくて購入したもの。このピアニストの特異な音楽性を改めて確認した。

30番ソナタ。音楽の感動の方向性としては独墺系奏者と同じなのだが、1,3楽章での弱音の響かせ方を含めた不思議な音響空間は完全にこの奏者独自のもので、急速楽章での、合理的奏法からやや逸脱したスポーティな疾走感ともども、伝統の縮小再生産から2歩も3歩もはみ出た音楽を作っている。

op.26は普通。op.49はいまいちで、もう少し内面的な演奏をするかと思いきや、軽いテンポで弾き飛ばしていく。ここだけ聴いたら、大した演奏家と思わないだろう。

op.126の緩徐楽章に示す精神美が、30番と同等に素晴らしい。

全体として、個々の作品に相応の深みを与えていると考えられなくもない。

私が演奏を聴いた時の上手いor並の判断基準を逸脱する、特異なピアニスト。