メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

ベルマンのリスト:ソナタとムソルグスキー:展覧会の絵(Amadeus)

イタリアのレーベルという事でどんな音質のものが届くかドキドキしながら待っていたのだが、ふたを開けてみれば後期のベルマンの録音としてErmitageとDISCOVERのライヴに並ぶ、音質・演奏ともに大変優れたレコードだった。

リストのソナタは75年のメロディアのスタジオ録音を聴いて、骨太の演奏をデッドな音響で捉えており、当時の一連のスタジオ録音の中では最上、しかし有名な超絶技巧の録音には劣るという印象を持っていた。ここに聴かれる91年のスタジオ録音は、エネルギーの出し方こそ丸くなったが、現代ピアノ界が封印してしまった、ピアノがきしむような重厚なフォルテが健在なうえに、更に弱音域のニュアンスの豊かさが加わった見事な演奏で、旧盤と並べて置いておきたい。

さらに展覧会の絵は、DGの75年録音が露骨なつぎはぎがあちこちに散見されて私は耐えられず、ようやくベルマンの演奏としてまともなものに出会えたと感慨深い。