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メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

トスカニーニに開眼

近所の図書館で、これまで聴いたことのない指揮者のCDをまとめて借りてきた。内容は、トスカニーニの「英雄」、C.クライバーの「運命」、チェリビダッケブルックナーであったが、いちばん感銘を受けたのは、何とトスカニーニの「英雄」であった。

この演奏は全集とは別の、1953年にカーネギーホールで録音されたものである。1楽章冒頭でまず2度奏される和音の、余りにも残響の少ない貧しい録音に愕然としたのだが、聴いているうちにだんだんと、これは私の人生で避けて通れないほど重要な演奏だと思うようになった。何よりも素晴らしいのは、(おそらく)楽譜の速度指示をかなり忠実に守りながら、楽想の持つ雄大さも十全に表現されているところだ。

トスカニーニベートーヴェンの魅力と秘密をあれこれ考えることは、ベートーヴェンソナタをどういう速度で演奏するか考える時に、絶対に勉強になると確信した。