メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

翼のはえた指_評伝 安川加寿子(青柳いづみこ)

読み手によって得られるものが異なる伝記だと思う。

私にとって一番心に残ったのは、完成された技巧を持った安川さんが、その速すぎる晩年に、リウマチによって演奏が出来なくなってしまうという、辛い残酷な事態であった。

ほとんどのピアノ弾きは、人生の最後まで「ピアノを弾く能力」を持っていることができない。だが、たぶん「音楽」ならば持っていられるのではないか。

だから、私のような只のアマチュアが自分の音楽的嗜好をピアノ演奏という枠の中で(過剰に)最適化してしまうのは、残された時間の使い方としてどうなの??と考えてしまった一冊であった。