読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

ケフェレックのラヴェル:ピアノ独奏曲全集(Virgin)

以前図書館で選集を借りて聴いたことがあり、その時の印象と変わらなかった。

安定した技巧といい、タッチの音作りといい申し分ないのだが、ケフェレックは持ち前のセンスの良さで面白く聴かせることができる奏者であり、それゆえにラヴェルの場合にいささか弾きすぎていると感じる時がある。

私見だが、ラヴェルのピアノ作品の示す情感には、なにかこう踏み越えてはいけない一線というのがあって、例えば「あなたなしでは、私は生きられない!」というような距離感は、徹底して避けられる。これは偏見かも知れないが、楽句の持つ情感の方向を拡大して表出するタイプの奏者がラヴェルを弾いた場合に、あえて女形が演じるようにキャスティングしてある箇所を女性に演じさせてしまったような、なにかこう近づきすぎを感じることがある。