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メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

永遠的なものの継承様式3

(続き)

(14) 内田先生の師弟関係の話の戻ろう。師が弟子の前で示す技芸や知見は、師に課された制約条件(これは、肉体的な条件であったり、文化的な背景であったり、色々と考えられる)のもとで、そういったものを超越する何かを表出しようとするために取られた表現手段である。

(15) したがって、弟子に課された制約条件が多かれ少なかれ師のそれとは異なったものである以上、弟子が永遠的な何かを師から継承しえた時、その表現手段は多かれ少なかれ師と異なっているはずである。逆に言うと、師の技芸や知見を全く同一の形で採った場合、永遠なるものは既に幾らか形を違えてしまっている。

(16) これが「指を見るな、月を見よ」に込められた意味だと思う。少なくとも現段階で私にはこのように思われる。

(fin.) 私はこの考えを、さしあたり、ベートーヴェンソナタが抱える指定速度の問題に適用してみたいと思っている。