メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

アファナシエフのモーツァルト:ソナタK.310,330,331(Sony)

アファナシエフは、K.310のソナタを前アルバムのK.457と同じくらいに我々にとって異形なものとして造形した。そしてK.330と331は、我々の知るものからそう遠くない位置に置いた。

つまるところ、このピアニストは自分の特異な芸風を誇示するために作品を利用しているのではなく、モールァルトが書いたものに可能な限り忠実であろうとしている。しかし奏者の持つ語法というかモノサシが、通常のピアニストからかけ離れているので、いくつかの作品には特に違なる方向から光が当たるという、そういう事態なのである。

個性的な芸術家は、決して彼自身が個性的であろうとしてふるまっている訳ではない事を漠然と感じた1枚であった。