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メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

花岡さんのチェレプニン・コレクション・ピアノ曲集(bellwood record)

田所さんのお薦め曲を聴いてみる(3)

 

このCDはチェレプニンのピアノ曲集ではなく、チェレプニンが紹介した当時の日本人作曲家のピアノ曲集。目当ては伊福部昭のピアノ組曲であった。

伊福部昭のことは、ゴジラの音楽を作った人くらいの知識しかなかったが、この組曲は19歳の時に、ジョージ・コープランドに演奏してもらおうとして作曲したらしい。曲の感じは、バルトークヒナステラのような民族音楽っぽい語法を日本の調べに融合しましたという感じのもので、着想は面白いが、楽譜を買って弾いてみようという程のものには感じなかった。

私はむしろ、併せて録音されている箕作秋吉の「夜の狂想曲op.16-1」の詩情に惹かれた(ただしop.16-2と3は劣る)。これは楽譜があったら買ってみたいが、現在入手困難なようで何とも残念だ。

ピアニストの花岡千春さんは、ディスコグラフィを見ると日本の近代ピアノ作品の発掘に注力されており、いちピアノ愛好家として敬服した。ピアノ独奏曲の作品群が文化的豊かさを保つためには、資本主義的な需要供給の外側での掘り起こし活動がやはり絶対に必要で、花岡さんのなされた一連の録音によって忘却の彼方から救われ、未来の愛好家が耳にできるピアノ曲はきっと多いに違いない。