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メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

アルゲリッチの録音に聴かれる音

自分が書いたものを読み返していたのだが、"アルゲリッチは鍵盤を底まで弾かない"とだけ書くと、(このブログの想定読者である、私と同じくらいピアノ好きに成長した息子から)「底を弾いている音が聴こえるじゃないか」と反論が有りそうなので、補足しておきたい。

私の聴く限りでは、鍵盤を底まで弾いてなさそうなピアノの音の粒立ちが聴ける奏者は大雑把に分けると2タイプいて、

(1) 相応のフォルテやアクセントが必要なパッセージでは、容赦なく底までしっかり弾く奏者

(2) 相応のフォルテやアクセントが必要なパッセージでさえも、底への衝突を極力回避しようとする奏者

このふたつは完全に明確に分離できる訳ではないが、私の耳にはアルゲリッチは(1)のタイプ、"底まで弾かない奏法がビルトインされたピアニズムを持つ奏者"に聴こえる(ジャンルの壁を越えてオスカー・ピーターソンが似ていると思う)。

底まで弾かないアルゲリッチを一番よく味わえる録音は、実はDGへの正規スタジオ録音ではなく、2000年のすみだトリフォニーホールでのライヴ録音である。