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メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

ソコロフのベートーヴェン:ソナタop.106他(DG)改訂版

(前からの続き)

この最新盤を聴いて前作からの芸風の激変にがっかりした私は、過去のソコロフの録音で持っていないものを買い漁り出した。

最初に手元に届いたのは、91年録音のベートーヴェンソナタop.7と101他であった。

ここにいつものソコロフを見出して安堵した私の中に、やがて、ふと疑念が芽生え始めた。

「最新盤の録音が、おかしいのではないだろうか??正確に言うと、録音レベルが…。」

私は再びこの最新盤を再生し、スピーカーのボリュームを、通常"8"で聴いているのだが、恐る恐る"13"まで回してみた。

するとどうだろう!いつものソコロフが復活するのだ!

私はすっかり混乱してしまった。

まさか天下のDGが、看板アーティストの最新盤で、このような凡ミスに近い事をやらかす筈があるまい。私が勝手に「ソコロフはこうであって欲しい」という願望を、無理やり音量を上げた演奏の中に投影しているだけなのではないか…。

しかし、今や私の心は、録音レベルが誤っていると見なす方向に傾きつつあった。だとすれば、なぜこのような小さい音でプレスしたのだろう。ピアニスト本人が小さい音で再生されるのを望んでそうさせたのか?そうならソコロフ本人とは別に録音"ソコロフ"はやはり変容していると考えるべきか?いったい我々が耳にしているのは、何割くらいまで奏者本人で何割くらいが録音人格なのか???

最新盤をどの音量で再生すれば良いのか、訳が分からなくなってっしまった私に、天啓とも思えるアイデアが沸いてきた。

実は前作(2008年ライヴ)と全く同じアンコールが1曲あり、このラモーの「未開人たち」が同じ音圧で感じられる音量が正しいのではないだろうか?

2008年ライヴは、音量"8"で聴いていた。

この2013年ライヴを同じに合わせてみた。やっぱり音量"13"だ!!

 

現時点での私の見解:やはり異様に低い音量設定でプレスされていると思われ、通常のCDの1.6倍の音量で聴くべきで、そうするとソコロフの芸風は前作から大して変容していない(結構大きい音で弾いている)。