メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

シャンドール・ピアノ教本(シャンドール)(1)

いつか読みたいと思っていたのだが、ようやく図書館で借りてきて読むことができた。

読んで一番素晴らしかったことは、長年の疑問が何となく腑に落ちたことだ。

その疑問とは、白鍵をドレミファソと弾いた時の手首の使用に関してである。

ネット上でピアノ奏法に関するサイトを調べれば容易に気付くのだが、ドレミファソファミレドと123454321の運指で弾くときに、手首を回して弾くように指示する奏法(私の昔習っていた先生はこの弾き方だった)と、手首は無駄な動きを極力避けよと言っている弾き方(私が今見てもらっている先生もこの教え)が、2つながらに並存しているのである。

この奏法のどちらが正しいのかを突き止めたいというのが、私のいちアマチュアとしての長年の夢だったのだが、これを解決する考え方が、この教本にのっている。

それは、手と腕を構成する筋肉と骨格の構造から要請される合理的な打鍵位置について論じた箇所(p.81~)で、各指が一番打鍵しやすい状態とは前腕(の筋肉)の延長線上に指がきた状態であり、そのため各指の打鍵に従って手首と前腕の位置は水平方向に動いていくのが良く、さらに親指に関しては、垂直に打鍵するために手首の位置を他の指よりも低くする必要があるという。

従って、この理想に近い方法でドレミファソファミレドと弾こうとすれば、私のように手が大きい弾き手はわずかに手首の位置が動く程度であり、逆に手の小さい人の場合には、手首を長円を描くように回すことになるであろう。

というわけで、結論としては弾き手の体格によって、どちらの弾き方も正しくある。

しかし、ここで重要なのは、手首を回して弾くのではなくて、理想の指の位置で弾こうとした結果、手首が回るという順番を認識する事であろう。

(続く)