メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

フレージャーのショパン:ピアノ作品集(TELARC)

最近疑問に思っていたことのひとつは、このTELARCレーベルにピアノソロを入れる奏者がおしなべて下部雑音の発生を禁忌するような弾き方に聴こえる事で、ひょっとしてTELARCの特殊なマイクセッティングによる可能性を考えていた。しかし、ようやくここにきて雑音の発生をいとわない弾き方の録音、即ちこのフレージャーのショパンを聴く事ができた。

誤解が無いよう記載すると、大変美しいタッチの奏者であり、弱音で弾かれたop.22のアンダンテ・スピアナートなど見事なものである。しかし、音楽が音の強度を要求するソナタ3番の終楽章などでは、必要に応じて深い打鍵(下部雑音を伴う)で弾いているように聴こえた。

一方、先日のキムラ・パーカーのショパンを聴き比べてみると、軍隊ポロネーズソナタ2番の前半の楽章でフォルテが要求される個所でさえも、鍵盤の底まで弾き込まれたように鳴る音は、ほんの僅かだけしか無いように聴こえる。

因みにこれまで聴いたTELARCレーベルのCDで、このキムラ・パーカーと同じく下部雑音の発生を避けながら弾いているように聴こえたものは、オコーナーのベートーヴェンとラン・ランのデビュー盤であった。