メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

プリマコフ・イン・コンサート vol.1(Bridge)

長年抱えている疑問のひとつなのだが、ピアニストが本来持っているタッチの印象を、録音をいじることでどの程度変えられるのだろう?

むかし、レオニード・クズミンがRussian Discレーベルに入れた一連の録音を聴いたところ、ラフマニノフだけが異様に硬いタッチで録られていて、これが実際に硬いタッチで弾かれているのか、録音をいじっているのか、それともピアノが容易に固い音を出すように調整されているのか、私には聴き分けられなかった。

このプリマコフのライヴ録音を聴いて“クズミン問題”を思いだしたのは、例えば演奏されているラフマニノフソナタ2番で、明らかに強く弾きすぎているような衝撃音を伴った音が聴こえてくるからである。これが古いピアニストの録音であれば、まあ奏法が古いのだろうで片づけてしまうのだが、ゴルノスターエワに師事した若手ピアニストの録音なのだ。

残念ながら現在の私にも、この衝撃音が奏法に由来するものなのか、録音のされ方が悪かったのか、あるいはピアノの調整がおかしいのか区別がつかない。

もう10年くらいピアノ道を精進すれば、何か分かるようになるかも知れない…。