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メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

ピュイグ=ロジェの南ヨーロッパ音楽紀行・バロックの世界

昔、ピュイグ=ロジェのピアノ教本を立ち読みしたことがあるのだが、そこにはあまり有名でないバロック作曲家の音の少ない小品がたくさん取り上げられていて、他の教本と比較して異彩を放っていた。

ピュイグ=ロジェは、チェンバロを念頭に書かれたバロック作品をピアノで演奏することに関して最も積極的な音楽家のひとりであったのだろうと思うが、このアルバムは最晩年に録音された、この奏者の数少ない独奏曲録音のひとつで、フランス・イタリア・スペインのバロック小品が20曲弾かれている。

収録曲中まず面白いのはデュフリで、楽想の展開に次に何が出てくるかわからないような面白みが有り、ギャラント様式というよりも多感様式に近いと思う(しかし私はデュフリの最後の曲集の楽譜を印刷して少々弾いてみたのだが、ピアノで弾いてしまうと何かが取り落とされると感じた)。

次にチマローザソナタ。国内盤で関孝弘さんのピアノによる全集が出ていて、打鍵の浅いこのピュイグ=ロジェの演奏と深めの関さんのピアノで、音の立ち上がり方を聴き比べてみるのが面白い(私見では、モーツァルトの変奏曲集と並んで一番難しいピアノ曲集だと思う)。

そして私にとって最大の発見は、セバスチャン・アルベロのソナタであった。34歳で夭折したスペインの作曲家なのだが、和声進行と転調が見事で、個人的にはソレールソナタよりも聴いていて面白い。