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メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

現代奏法のメモ書き(2)

私が大学生だった頃、ようやくネット上の情報が充実し始め、私がこれまで習っていたのは「ハイフィンガー奏法」で、もっと合理的に腕の重さを使う「重量奏法」あるいは「重力奏法」という弾き方があることを知った。

この弾き方を簡単に言うと、肩から腕までを完全に脱力して指先に乗る重さを支えるのに(実はこう考える時点で鍵盤の底からの反作用の力を相手にしている)、手の伸筋と屈筋を両方使う(曲げた指)よりも、なるべく屈筋のみを使う(伸ばした指)ようにして弾いたほうが楽だよね!という弾き方である。私はこれをかなり意識して練習していた。

しかし、この奏法を発展させないと、出せない音質の音、ちゃんと鳴らせない楽器があるのを身を持って体験した。

これを可能にする現代奏法(←勝手に命名)とは、どうも打鍵動作の中立点、均衡点が「鍵盤を底まで押した状態」ではなくて、「鍵盤が元の位置に戻った状態と、その上に置かれた指」にあるような奏法なのだ。

かくして、重量奏法の問題の立て方は「打鍵時にかかる重さを如何にして指で支えるか?」であったのが、現代奏法の問題の立て方は「打鍵時以外に不要な重さを、如何にしてせき止めておくか」とコペルニクス的に転回する。

ひとつの方法は、私は知らず知らずでやっていたが低い椅子に座ることで、肘よりも手首の位置が高くなる。そうすると上腕までの重さは肩につり下がり、前腕と手の重さは肘を支点にして上腕の筋肉で支える(実はジャン・ファシナ著の「若いピアニストへの手紙」にこの事が書かれていて、私はようやく何が書いてあるか判るようになった)。この構えによって打鍵に使えるのは、手と前腕の重さである。

ところが、場合によっては打鍵時に上腕の重さも参加させたくなる場合が出てくる。

そこで、高い椅子に座ってこの奏法をとるやり方が、どうも有るようなのだ。これは現代ロシア奏法を教えられているという偉い先生の受け売りである。

・高い椅子に座って、前傾姿勢をとる。

・腕の重さを、手首を支点にして前腕の筋肉で支える。

私が高い椅子で弾く時は、従来の、腕の重さを指で支えるやり方をしていた(高い椅子と低い椅子を3週間おきに替えて練習している)。今度、高い椅子で試してみようと思う…。