メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

kyushimaさんのCD聴き比べのページ

最近、ヤブウォンスキがショパンの練習曲全集の再録音を出したのを機会に、古い方の練習曲全集を買って聴いてみたところ大変見事な演奏であった。
その余りの素晴らしさに、そういえば昔、kyushimaさんと言う方が、この旧録音を大変高く評価されていたのを思い出し、そのサイトは今どうなっているだろうと覗いてみた。

もう20年近く前のサイトなのだが、嬉しいことに、まだ維持されていて、とても懐かしい(さすがに今読み直してみると古さを感じるが…)。

http://kyushima.web.fc2.com/cd/index.html

このページに初めて出会った頃の私は、現在のようにピアノが弾けなかった事もあり、「レコード芸術」に記事を書いている音楽評論家諸氏の意見の最大公約数をとったかのような"古くて長く生き残っている録音こそ良い演奏"みたいな価値基準で聴いていた。

そんな中で出会ったのが、kyushimaさんの評である。

この、コンクールの審査員が、奏者の名前を一切気に留めず自己の感性のみによって評定したような〇△×判定は、結果的に歴史的ピアニストの歴史的名盤の多くに死刑宣告を突き付けており、当時の私は大変な衝撃を受けた。
そしてまた、新進のピアニストがどんな風に弾いているかに目を見開かされたサイトであった。

思えば私は恵まれていた。

一方で、吉田秀和さんや宇野功芳さんのようなクラシック音楽の評論家がピアニストを聴いた場合の価値基準と、もう一方で、このkyushimaさんのような、ピアニストが何をやっているかが良くわかる、往々にしてピアノが良く弾ける方(そして音楽業界と癒着していない方)が聴いた場合の、しばしば全く異なる価値基準の間に挟まれて、それぞれの良さと問題点を咀嚼しながらピアノオタク道(?)を邁進する事ができたと思う。

最近の人たちは、どのようなかたちでピアノ演奏の聴き比べの領域に入っていくのだろう??