メメント・モリ、あるいはピアノにかんするエトセトラ

私が人生で出会ったもの・考えたこと

高い椅子で練習してみて2つの発見(1)

これまで、ピアノを弾くときの椅子の高さは高い位置(手首の高さが肘と同じくらい)と低い位置(手首の高さが肘より若干高い)の2通りで、3週間交代で練習していた。

だが今回新たに、ロシア奏法を教えられている幾人かの先生がそろって推奨されている、かなり高い椅子で3週間やってみた。

それはどれくらいの高さかというと、上腕と前腕の重さを手首まででせき止めて支える為に、手首より肘が若干上にくる位置である。

手を水平に伸ばした時に左手の中指の先から右手のそれまで測ったら195cmあった私が、このポジションをとろうとすると、ピアノ椅子を一番上にあげてもまだ足りず、更に座布団を1枚敷かねばならなかった。


【発見その1】打鍵が深くならない

まず、自分でも不思議だったのは、指先に重さが乗せやすくなるため打鍵が深くなるのではないかと思っていたが、意外にそうならなかった事である。必死に鍵盤を弾こうとすると、ふわっと浮いてしまう感じになるのだ。

なぜこうなるか、理由を色々と探してみたのだが、現時点で一番腑に落ちるのは、雁部一浩さんの「ピアノの知識と演奏」の56ページ、"手首より肘の位置が高い状態で打鍵すると、打鍵の方向が垂直よりもやや斜めになる"という説明である。

この本は、この後"打鍵の方向が垂直になる、手首の高さ=肘の高さのポジションで弾くのが合理的である"と言う風に続く。

しかし私の実感では、手首より肘の位置が高い状態での打鍵は、逆に鍵盤の底まで勢いよく打鍵しようとするのが自然と抑制されると感じた。

実際、私にとって手首と肘の高さが同じのポジションは、いつの間にか"指トレーニング"のように弾いてしまう、一番危ないポジションである。


(続く)